よくあるご質問
- 「変形性股関節症」と言われました。手術の話も出ましたが、少し痛む程度で生活に不自由はありません。それでも、手術を検討すべきでしょうか?
- 股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛や夜間痛に悩まされることになります。一方日常生活では、足の爪切り、靴下を履くこと、和式トイレ使用や正座が困難になります。また長時間の立位、歩行がつらくなりますので、台所仕事、主婦労働に支障を来たします。
本症と診断されたらまず負担を減らして大事に使うということが大切になります。初期では、どのような使い方をすると痛みが強くなるか自分自身の関節の調子を観察し、 “日常生活”と“痛みを悪くしない使い方”をよく理解することが大切です。痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して使うほうが良いと思います。抵抗がなければ杖の使用もお薦めします。一方、どうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を行っていただくと理想的です。これらの保存療法でも症状が取れない場合は手術療法を考えます。初期のうちでしたら自分の骨を生かして行う骨切り術の適応ですし、関節の変形がすすんでいる場合は人工股関節手術の適応となります。
- 腰から下半身にかけての痛みでまっすぐ立って歩くことが困難になり、病院で脊柱管狭窄症と言われました。前屈みになれば歩けます、どのような治療が必要でしょうか?
- 腰部脊柱管狭窄症は、加齢により腰の骨が変形し、神経の通る脊柱管が狭くなり(狭窄)、神経が圧迫されて発症します。特徴的な症状は、歩行と休息を繰り返す間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。安静時にはほとんど症状はありませんが、背筋を伸ばして歩くと、下半身にしびれや痛みが出て歩きづらくなります。しかし、少し前かがみになったり、腰かけると症状は楽になります。神経の圧迫は腰を伸ばして立つと強くなり、前かがみになるとやわらぐので、歩く時には杖をついたり、腰を少しかがめれば楽に歩ける訳です。また、自転車こぎも神経は圧迫されず、痛みが起こりにくいので、よい運動になります。治療としてはリハビリテーション、コルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行を良くする薬などがあり、まず行います。しかし、障害が進行し、日常生活に支障が出る場合には手術を行うこともあります。
- 半月板損傷はどのような治療を行いますか?
- 半月板は膝関節の大腿骨と脛骨の間にある軟骨様の板で内側・外側にそれぞれがあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。これが損傷すると、膝の屈曲時の痛みやひっかかりを感じたりします。またひどい場合、膝に水(関節液)がたまったり、急に膝が動かなくなる“ロッキング”という状態になり、歩けなくなるほど痛くなります。原因としてはスポーツなどの怪我から生じる場合と、加齢により傷つきやすくなっている半月板に微妙な外力が加わり損傷する場合とがあります。単純レントゲン写真では半月板は写りません。症状や診察で半月板損傷を疑えばMRI検査を行います。MRIは非侵襲性で半月板損傷の病態や合併する靭帯損傷の診断にも有用です。リハビリテーションや抗炎症薬の処方など保存的治療で症状が改善する場合がありますが、改善しない場合には手術を行います。手術法には切除術(損傷した部分を切り取る)と縫合術(損傷した部分を縫い合わせる)の2種類があり、通常は関節鏡を使った鏡視下手術を行います。
- 腰をひねったときにお尻から膝あたりにかけて痛みを伴うようになりました。病院で診てもらうと軽度の椎間板ヘルニアで治らないとのことでしたが、何かいい治療法はあるのでしょうか?
- 「治らない」というのは、しばしば医師が変性変化(加齢や変形などによる変化のこと)に対して「元には戻らない」という意味を込めて使用することがあり、時に誤解を招きやすいのですが、「症状を和らげる」ことに関しては十分可能です。
椎間板は背骨をつなぎ、クッションの役目をしています。その一部が出てきて神経を圧迫して症状が出ます。椎間板が加齢などにより変性して起こります。高齢の方ですと脊柱管狭窄症の要素も加わって症状が出ていることもしばしばあり、歩行と休息を繰り返す間欠性跛行が出る場合もあります。
痛みが強い時期には、消炎鎮痛剤の内服や神経ブロックなどを行い、痛みをやわらげます。最近は痛みに対する様々な治療薬がありその効果が認められています。また痛みが軽くなれば、運動療法を行って、体幹の筋力を維持し、身体の安定性を保ち、症状の発現を防止します。
しかし、これらの方法で効果のない場合は手術をお勧めすることがあります。ヘルニアを摘出する除圧手術や安定性を得るための固定術が行われています。また顕微鏡や内視鏡を使った低侵襲手術も広く安全に行われるようになってきました。椎間板ヘルニアでお悩みの方は一度当院までご相談ください。
- 50代女性です。先日、手の指の第一関節が少し曲がっていることに気がつきました。むくみや痛みはありません。調べると「変形性関節症」という病気があるようですが、詳しく教えて下さい。
- これはヘバーデン結節という指の第1関節が変形し曲がってしまう疾患です。病名は報告者の名前から来ています。母指から小指にかけて第1関節が腫れたり、曲がったりします。痛みを伴ったり、動きが悪くなったりします。また、強く握ることが困難になります。
原因は不明ですが、一般に40歳代以降の女性に多発します。手をよく使う人にはなりやすい傾向があります。根本は変形性関節症という関節の変形であり、関節リウマチとは異なります。診断は容易で、第1関節の変形、突出、疼痛があり、X線写真で変形性関節症の所見があれば、へバーデン結節と診断できます。
保存的療法としては、局所の安静や投薬、局所のテーピングなどがあり、殆どの人がこのレベルです。どうしても保存的療法で痛みが改善しない時や日常生活に支障をきたす場合は、手術を考慮します。
予防ですが、第1関節が痛むときは安静にしましょう。普段でも指先に過度な負担が生じることを避けるようにしましょう。
- 骨粗鬆症はどのような症状があるのでしょうか?
- 骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなって、骨折の危険性が高くなっている状態を言います。しかし骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です。 しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)などです。骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。腰や背中の場合は小さな骨折が少しずつ起きて痛みが出ていることがあります。
からだの中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返しています。骨粗鬆症は、このバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになってきます。骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。
- 子どもが「関節まわりが痛い」とよく言うようになりました。成長痛だと思いそのままにしているのですが一度診察に行くべきでしょうか?
- 「成長痛」は下肢の急激な成長の過程においてみられる痛みです。子供で夜寝ているとき、急に膝や下腿が痛いといって目を覚まし泣いたりすることがあります。痛みは長くは続かず、翌日には何事もなく跳びはねているという特徴があります。
原因ははっきりしませんが、骨の成長するスピードが筋肉、筋膜などの成長するスピードよりも速く、そのため筋肉などが引っぱられて起こるともいわれます。しかし疲労や心理的ストレスなども影響するとも言われており、結局、原因ははっきりせず、成長痛という名称は、原因不明の子どもの下肢の痛みをいうのに便宜上の言葉とも考えられます。
しかし、「ただの成長痛だと思っていたら、成長痛ではなかった」というケースもあるので注意が必要です。普通の成長痛である場合は一過性のもので、数時間から一晩で痛みが治まること、目で見える怪我などがないことが特徴ですが、1日経っても痛みが消えないような場合は、単なる成長痛ではない可能性があります。骨折、腫瘍、感染、など重大な病気が隠れている場合があります。「痛みが長く続いている」、「痛みがだんだんとひどくなる」「歩き方が変である」「足が曲がっている」などの徴候があれば必ず、医療機関を受診すべきです。また、大切なお子さんの体のことです。成長痛と決めつけず、まずはご相談することが安心につながることになります。
- ロコモティブシンドロームとはどのような症状がありますか?予防法はありますか?
- 「ロコモティブシンドローム」は筋肉、骨、関節といった運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態をいいます。略称で「ロコモ」、和名で「運動器症候群」といいます。立つ、歩くといった機能が低下している状態で、進行すると日常生活にも支障が生じて介護が必要になるリスクが高くなります。
次のような症状があると要注意です。
・片足立ちで靴下がはけない
・家の中でつまずいたり滑ったりする
・階段を上がるのに手すりを必要とする
・家のやや重い仕事が困難である
・2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
・15分くらい続けて歩くことができない
・横断歩道を青信号で渡りきれない
ロコモを予防するためには骨や筋肉の量や機能を出来る限り維持していくことが肝心です。適度な運動をして、適切な栄養を取ることです。また関係する整形外科の病気もしっかりと治療をすることが必要です。まずは整形外科の先生に相談をしましょう。
- ひどく寝違えてしまいました。安静にするようにとのことだったのですが、もともと肩こりなのですが2週間経っても治りません。整形外科へ行くべきでしょうか?
- 「寝違い」は睡眠中に不自然な姿勢を取ったり、無理な首の運動をしたことで頚の筋肉に負担が加わり首の痛みを生じることの総称として使われる言葉です。しかし、その発症には色々な状況が含まれていると思われます。
また肩こりの原因は多く、多種多様な疾患が含まれます。確定的な診断方法や治療法がなく、腰痛などと同様、不明な点が多い疾患です。パソコンでの仕事など首の筋肉に緊張を与えて肩こりを生ずる頸腕症候群、首の骨の老化の変化による頚椎症、また椎間板が飛び出して脊髄の神経を圧迫する頚椎椎間板ヘルニア、また日本人に多い頚椎後縦靱帯骨化症などが肩こりの原因となりうります。これらには手足が麻痺してしまうような病気もあり、場合によっては手術治療が必要です。
問題のない肩こりは1,2週間の短期間で治ってしまいますが、長期にわたって続く肩こりは、その奥に重大な疾患が潜んでいることもあります。肩こりが続く方は当院へ一度ご相談ください。
- 五十肩と診断され治療しています。痛みが一向にひかないのですが、自然と治るものなのでしょうか?
- 五十肩は肩関節周囲炎と考えてよいです。肩関節の痛みと、関節の動きが悪くなる病気です。夜中にズキズキ痛むこともあります。中年以降に多くみられ、関節を構成する軟骨、靱帯や腱などが老化して肩関節の周囲に組織に炎症が起きることが主な原因と考えられています。肩関節の動きをよくする袋や関節を包む袋が癒着するとさらに動きが悪くなります。肩関節におこる痛みには、肩関節の袋の炎症のほかに、石灰沈着性腱板炎、肩腱板断裂などのはっきりと原因がある場合があります。これらは、レントゲン撮影、MRI、超音波検査などで診断をします。自然に治ることもありますが、放置すると日常生活が不自由になるばかりでなく、関節が癒着して動かなくなることもあります。痛みが強い急性期には、安静を計り、消炎鎮痛剤の内服、注射などが有効です。また温熱療法(ホットパック、入浴など)や運動療法(拘縮予防や筋肉の強化)などのリハビリを行います。これらの方法で改善しない場合は、手術(関節鏡など)を勧めることもあります。専門医と今後の方針についてしっかりと相談をしましょう。